ゲイな彼と札束
マモルのいない、やけに静かなマンションの寝室。
あたしはそっと目を閉じた。
地元では一人で暮らしていたし、そのことに違和感など感じなかった。
だけど、この部屋に一人でいるといやに寂しい気がする。
もしかして、マモルは毎日こんな寂しさを感じながら暮らしていたのだろうか。
自惚れて傷ついたりしたくないけど、これだけは信じたい。
あたしは結構マモルに好かれていた。
あいつはゲイだから恋とは少し違うだろうけど。
でも、特別な女の子として、大事にされていた。
埼玉にいるというマモルの妹と同じくらい、家族のように思ってくれていた。
恋愛感情なんて、もう報われなくていい。
幸せになんてなれなくていい。
ただマモルと穏やかに生きていきたい。
そんなことを考えているうちに、あたしはいつの間にか眠っていた――。