ゲイな彼と札束
コーヒーカップ
ーーピーンポーン ピーンポーン
チャイムの音で目を覚ました。
まだ暗い。夜中だ。
携帯で確認すると、時刻は午前0時過ぎ。
こんな時間に誰だ。
マモルは今あたしの地元にいるから、マモルではない。
まったく非常識なやつがいるもんだ。
居留守を決め込もうと思ったが、チャイムが再度鳴らされる。
チャイムのメロディーから、オートロックの外からではなく、インターホンからの呼び出しだと判断できる。
マモルの夢を見て寝ぼけていたが、非常識だがそれなりのことがあったのかもしれないと思い、ベッドを出て片足で玄関へ。
廊下の明かりを点けて扉を前にすると、ふとひとつの可能性に気づく。
この部屋の住人を知っており、かつこのマンションのオートロックを解除できる。
そんな人物は、あたしとマモル以外、たぶんこの世に一人しかいない。
あたしはドアを開けるのを躊躇した。
しかし片足でドタドタと音を立ててしまった以上、居留守は通用しない。
あたしはその来客を覗き穴から確認することなく、扉を開けた。