ゲイな彼と札束

マモルは繋いだ手を引き、あたしを寝室から連れ出した。

独特のリズムを刻みながらリビングへ行くと、ジョージはコーヒーの香りが漂う部屋でテレビを見ていた。

「おはよう、サエちゃん」

惚れ惚れするほどの爽やかな笑顔。

テレビかよ。CMかよ。

そんなやつの前で、今日もあたしはスウェットかよ。

寝起きで顔も洗ってない。

「おはよう」

マモルに支えられ、ラグの上に腰を下ろす。

昨日と同じ、ジョージと向かい合う位置だ。

「俺たちのコーヒー淹れてくる」

マモルはキッチンへと行ってしまった。

手持ちぶさたでタバコに火をつけてみたが、寝起きの乾いた喉に沁みる。

マモルのコーヒーが待ち遠しい。

結局コーヒーが届いたのは、一本吸い終わってからだった。

ーーコトッ

目の前に置かれたのは見覚えのないカップ。

赤とピンクのチェック柄だ。

やけにラブリーなカップだな。

こんなのこの家にあったっけ。

不思議に思ってマモルを見ると、嬉しそうに微笑んでいる。

似たような青いチェック柄のカップを持ってあたしの隣に座った。

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