ゲイな彼と札束
話すごとに、マモルの口調はだんだん熱くなっていった。
これが、あたしと離れている間にマモルが出した答えなのだろうか。
あたしは握られている手を振り払って、彼の額を軽く小突く。
「バーカ。そんな恥ずかしい話、ジョージの前でしてんじゃねーよ」
「えー、恥ずかしいかな?」
「超絶恥ずかしいわ。ジョージの顔を見てみろよ」
マモルが視線を向ける。
ジョージはコーヒーをすすりながら困った笑顔を浮かべていた。
「シンさん。そういうことだから」
マモルはこっちから振ってやったという感じに、ニッと口角を上げた。
ジョージは美しい動作でカップをテーブルに置き、タバコの箱を手に取った。
「ほんと、俺に入り込む余地はなさそうだな」
そう言って、高そうなジッポで火をつける。
独特のオイル臭が鼻を掠める。
抜群に整った顔に、渋い声。
今にも「カット!」なんて聞こえるんじゃないかと思うくらい、美しい。
彼は彼なりに、ここで最後にカッコ付けたかったのかもしれない。