ゲイな彼と札束
「マモル、すまん」
「だから、謝らないでよ」
「いや、ロクに顔も合わさずに金で解決させてしまって……申し訳ないと思ってる」
ジョージは膝に手を起き、頭を下げる。
「もういいんだってば」
「俺にはそれくらいしかできなかった。とにかくずっと謝りたかったんだ。それが達成できたから、よかったよ」
「シンさん……」
名前を呼んだこの時のマモルの顔を見ると、やっぱりまだ未練はあるんだと感じた。
初恋の相手なのだ。
ジョージはこれから先も、マモルの心の中から消えることはない。
チクリと心が痛むけど、あたしはマモルの言った愛とやらを信じてみようと思う。
「おいジョージ」
偉そうに呼ぶと、キレイな顔がこちらを向いた。
「マモルを捨ててまで結婚したんだ。離婚なんて許さねぇからな」
ただでさえ離婚の多い芸能界。
そんな廃れた世界に身を置いているからって、多目には見てやらない。
「俺も、許さないからね」
ジョージは笑って目を閉じ、
「わかってるよ」
大きく三度頷いた。