ゲイな彼と札束
マモルはテキパキ新しいコーヒーの準備を進めている。
水を入れたケトルを火にかけ、カップを手早く洗い、カップを拭く。
「ねぇ、サエ」
「な、何だよ」
あたしは手持ちぶさたにタバコに火をつけた。
ソファーにはまだジョージの熱が残っている。
「俺、子供は3人欲しいな」
「ゲホッ……はぁっ? ゲホッ!」
むせて吸った煙が大量に鼻から出てしまい、そのツンとした刺激で涙目になった。
急に何を言い出すんだ、このホモは。
「あ、でも三人もいたらこのマンションじゃ部屋が足りないね。いつかもっと広いところに引っ越さなきゃね」
まだ学生のくせに、勝手に家族計画を立てている。
いやいや、そうじゃなくて。
子供って、どうやって作るかわかって言ってるのか?
「気が早い。つーか、女とヤれないお前に子供ができるかっての」
「大丈夫。別に、ゲイだからって女の子とできないわけじゃないんだよ」
「ああそう……」
「この俺がサエとできないわけがない」
知らねーよ。
まだ午前中なのに、自信満々で何を宣言してんだ。
「だからさ。コーヒー飲んだら一緒にお風呂入ろうよ」
「えっ、今日するの?」
心の準備が……!