ゲイな彼と札束

どこまでも気の早いマモルは、無邪気に笑ってコーヒーの豆を量っている。

「しようよ。つーか俺、この若さで何ヶ月もご無沙汰だから、結構溜まってます」

「バカ! マジでお前バカ!」

思えばあたしだって同じくらいご無沙汰だ。

「いいじゃん。ていうか夏に一回、一緒に入ったじゃん」

「入ったけど」

今思い出すとめちゃくちゃ恥ずかしい。

「サエの体、もっと色々触ってみたいし」

もっとって、色々って。

想像すると顔が熱くなった。

「ちょっ……触るとか……恥ずかしいことを爽やかな顔で言うな」

「恥ずかしいかな? だって俺、女の体、まともに触ったことないし。俺でも興味がゼロってわけじゃないんだよ」

再会して早々、何なんだこいつ。

本人は至ってあっさり話しているが、内容はかなり変態的だ。

「知るか。つーか無理だから。ギブスしてるし、コルセットしてるし」

こいつらが外れるまで風呂には入れない。

もう少し腫れと痛みが治まればシャワーを浴びられるけど、今はまだ洗面台で顔や頭を洗うのがやっとだ。

「あ、そうだったね。じゃあケガが治ったらってことで」

「そうして」

「俺ほぼ童貞だから、優しくしてね」

「……死ね」

「酷いなぁ」

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