ゲイな彼と札束
あたしの身に降りかかってきた様々な不幸は、鳳凰の祟りだったとでもいうのか。
確かに脚を傷つけられた鳳凰は怒っていたかもしれない。
鳳凰の脚を傷つけてしまったことも含めて、あたしが体験してきた不幸は、やっぱり今までの所業の報いだと思う。
「色は入れんの?」
「うん、入れんよ」
「もったいないな」
「このままでいい。色入れるのも痛いし」
「まぁそうやな。あ、尻尾のとこも微妙に切れちょる」
「んじゃそこもね」
「はいはい」
あたしの背中で羽を広げる鳳凰は、これからもクールな顔をしてあたしの行動を見守り続ける。
あたしとは背中合わせで顔を合わせることはないが、それでもあたしが何かをやらかした時は、きっと罰が下される。
……のかもしれない。
「終わったぞ」
「マジ? 早いな」
「ちょっとやったから」
ヒロキの作業は数分で終了した。
痛みを感じた時間だけで言うと、数秒だ。
あっという間だった。
携帯で撮影してもらった画像で仕上がりを確認し、その画像を添付してマモルにメールを送った。
あたしの相棒の快気を喜んでくれるだろうか。