ゲイな彼と札束
画面に映し出されたのはこの時間の定番、ワイドショー。
松島ジョージの結婚会見の映像が軽快な音楽とともに映し出された。
「またジョージかよ」
ったく、幸せそうな顔しやがって。
イイ男が36歳でやっと結婚できたんだから、そりゃ嬉しいんだろうけど。
昨日からテレビといえばジョージしか見ていない。
もうジョージは飽きた。
それはマモルも同じだったようで、チャンネルはすぐに変えられ、グルメリポートに落ち着いた。
「朝飯、食べようか。もうすぐお昼だけどね」
振り向いたマモルは、また捨て犬のような顔をして無理に笑っている。
どうせ別れた男のことでも思い出したんだろう。
あたしも昨日の記憶と痛みがよみがえる。
腕や脚のアザは青みが増していた。
触れると昨日より痛むのは気のせいだろうか。
せっかくチャンネルを変えたのに、マモルがコーヒーを入れている間にグルメリポートが終わり、大画面にはまたジョージが映し出されていた。