ゲイな彼と札束

出そうになった右足を引っ込め、大人しく自分の持ち場へと戻る。

真之介の名前が出る度にイラッとしてしまう。

その時のこいつの顔を見ると逃げ出したくなる。

あたしだって、さすがにわかっている。

そういうふうに思うってことは、つまり。

このホモ男を、それなりの目で見ているということなのだと。

「はぁ、考えたら腹立ってきた」

こちらを向いて寝息を立てるマモル。

男にしか恋をしない癒し系の優男。

新宿で出会ってから幾度となく優しさを注がれたあたしは、まんまと片思い。

やっぱり腹が立って、左足でちょんとつつく程度に蹴ってやった。

それがまた、たまたまタマに当たったもんだから、高田真之介の夢を見ていたマモルが現実へ戻ってくるのは必至なわけで。

慌てて右足を引っ込め、小さく唸り声をあげたマモルに白々しく聞いてやる。

「どうした?」

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