ゲイな彼と札束
寝ぼけているマモルは、
「ん……?」
と息を漏らし、股間を押さえて再び目を閉じた。
夢の続きを見るのだろうか。
あたしはマモルに近づいてそっと頭部に触れる。
何か念力のようなものが使えるなら、このまま高田真之介の記憶……いや、自分がゲイである意識を吸い出してやりたい。
実際にそんなことはできないが、形だけ何度か頭を撫でると、マモルは再びモソモソ動いてあたしに腕を回してきた。
ちくしょう。
どうせ、あいつだと思って抱きついてるんだ。
その証拠に、マモルの方が胸に頭を埋めて受けの姿勢だし。
このままこいつを犯してやろうか。
そうすれば、もしかしたら本来の道に目覚めるのではないか。
そう思ってこいつの股間に手を伸ばしてみたが、この体勢では届かなかった。
チッ……。
あたしは開き直って、胸にマモルを抱き締めたまま眠った。