ゲイな彼と札束



翌朝、マモルはポツリこんなことを言い出した。

「ベッド買い換えようかなぁ」

「は? 買ったばっかりなんじゃねーの?」

「もう3年弱使ってるけど」

ポンポンとベッドのマットを叩いたマモルは思いをはせるようにうつ伏せに。

「前の家にもこんなの置いてたのかよ。リッチだな」

母子家庭で育ったんじゃなかったのか?

まさか、このベッドで川の字?

「違うよ。これはこのマンションを買ったときに、シンさんが買ったやつ。だからこのベッドには、思い出が詰まりすぎてるんだよなぁ……」

出た、捨て犬顔。

ていうか、このマンションって最近買ったものじゃなかったんだな。

3年弱って、その間誰がここに住んでたんだ?

真之介か?

それにしても、思い出って……。

そんなベッドに今まであたしは寝ていたということかよ。

だったらさっさと買い換えちまえ。

でも……。

「ベッドって高いんじゃね?」

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