ゲイな彼と札束



シンさん、実はまあまあ有名人で。

普通のカップルならお互いの家でも良いんだろうけど、シンさんの家はちょっとマズくて。

会いたいけどシンさんは忙しいし、俺の家は八王子だったから来るのは遠かったし、車も停められないし。

だから俺と付き合い始めてすぐ、このマンションを買ってくれたんだ。

もちろん、ベッドやテーブルやソファーもね。

ビックリしたよ。

俺に会うために、ここまでしてくれるなんて。

それを丸々、今は俺が使わされてるって感じ。

まぁ、俺の名義で買ったから、法的にははじめから俺のものだったけどね。

いろいろ複雑なんだよ。

シンさんは。



マモルの話を聞いても、あたしはそれが現実の話なのかわからなかった。

もしかしたら適当な作り話かもしれない。

だって。

「あたし、高田真之介なんて知らない。そんなに徹底的にやらなきゃいけないくらい有名なのかよ?」

「有名だよ、ほんとに。サエも知ってる」

「だから知らないって」

マモルは意味深に微笑んで、それ以上話さずにベッドを出た。

そしてポイポイ服を脱ぎ、着替え始める。

「俺、今日はちょっと出かけるね」

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