ゲイな彼と札束
刺すような日差しがまた肌を刺激する。
刺すような視線が神経を逆撫でする。
少し歩いて歌舞伎町に入ると、チャラそうな男が押しつけるようにポケットティッシュを突きつけてきた。
日給25000円以上……。
ほんとかよ、胡散臭い。
ああ、風俗か。
あたしももう18だ。
キャバクラ嬢にもなれるし、このティッシュの風俗嬢にもなれる年になった。
そろそろどこかで働いてみようか。
労働して自力で生活してみようか。
東京に出てきて得たものは、ぶつけて失敗したタトゥーと消えないアザ。
そしてカタギとは言えない裏社会の知識と、無理に求められて覚えた性的なアレコレだけだ。
暴力クソ親父から逃げてきたというのに、ついていった男は親父に似た野郎ばかりだった。
もしかしたら男はみんな同じなんじゃないかって思ったけど、そうじゃないことはちゃんと知っている。
あたしは生まれながらに男運がない。
もはや親父の呪縛かもしれない。