ゲイな彼と札束
歌舞伎町を歩き回ると、20分もしないうちにポケットティッシュが両手いっぱいになった。
スカウトの男たちなんて、いつも睨んでシカトしてたけど、まともにもらうとこんな量になるらしい。
持ちきれず肩に提げてきた小さいバッグに収めるとすぐにパンパンになったので、いったん歌舞伎町を脱出して駅ビルへ戻る。
混んでいるスタバにもう席はなく、渡り廊下の段差に腰掛けた。
さて、生まれて初めてティッシュを吟味してみるか。
キャバクラ、ヘルス、ソープ……。
あたしにできるのはせいぜいこの辺だ。
昔コンビニとかファストフードを受けたことがあったけど、どれも身分が証明できないとダメだった。
当時の男にそれを相談すると、夜の仕事なら雇ってくれるところがあると言われたのを、あたしは忘れていなかった。
募集年齢は18歳以上がほとんど。
20歳以上だとかかれているやつはゴミ箱に捨てて残りをバッグに詰め、駅へと向かった。