ゲイな彼と札束

だから映画のことが落ち着くまで、会うのは控えようってことになった。

俺もシンさんの仕事に理解はあるつもりだし、しばらくの辛抱だと思って素直に我慢してた。

そんな時だったよ。

シンさんのマネージャーから連絡が来たのは。

「ジョージが一般女性と結婚することになった」

ってね。

相手は同じ制作会社に就職が決まってた俺のバイト仲間でさ。

まだ公表されてないけど、その子、お腹にシンさんの子供がいるんだよ。

結婚は最高の話題だった。

脅してきた週刊紙にはゲイ疑惑の代わりに別の記事を提供できるし、それが映画の宣伝にもなる。

邪魔な俺は、シンさんに会うことなく別れさせられた。

手厚い手切れ金と共にね。

手切れ金は500万とこのマンションだけじゃない。

条件を満たせば、2年間毎月生活費として20万振り込まれることになってるんだ。

その条件っていうのが、この部屋に住むとか彼女を作って俺のゲイ疑惑を晴らすとか、テレビ業界には金輪際関わらないとか。

だから制作会社の内定は取り消しになったんだよ――。



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