ゲイな彼と札束

「結構ハードな話でしょ」

マモルはヘラッと笑う。

そんなことがあったのに、どうして笑っていられるんだ。

自分がどん底にいるのに他人に優しく接することができる強さを、どうやって身に付けたんだろう。

人に見られただけで敵意をむき出しにしてしまうあたしなんか、本当にしょうもない女だ。

ジョージをボコボコにしてやりたい。

「そんな酷い男、金だけもらってさっさと忘れろ」

「シンさんは酷い男じゃないんだよ」

……この期に及んで、往生際が悪いぞ。

このクソ俳優をまだ善人だと思っているのか。

「親のいない俺への手厚い経済援助は、シンさん本人の意志だから」

「え?」

「事務所的には500万で片を付けたかったところを、生活費が盛り込まれたのは夢を絶たれた俺への配慮。きっと、シンさんの愛。俺とのことは遊びじゃなかったという証拠なんだよ」

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