ゲイな彼と札束
目覚めると夜中だった。
手探りで携帯を探し出し、眩しい画面を見ると午前3時半過ぎを示している。
体にはタオルケットがかけられていた。
こんな時間なのに、ベッドにマモルがいない。
携帯のライトで照らしながら寝室を出ると、リビングから音がしている。
そっと扉を開けると、テレビとエアコンがつけっぱなしになっている。
マモルはソファーで寝息を立てていた。
どうやらテレビを見ながら眠ってしまったらしい。
冷えた部屋のエアコンを消し、窓を開け、寝室から彼のタオルケットを持ってきてかけてやる。
テレビを消した時、マモルが何か喋った。
寝言?
何を言っているかはよくわからない。
「ん? なに?」
小さい声で問いかけてみる。
「――、――だよ、サエは……」
あたしの夢なんて見てやがるよ、こいつ。
少し嬉しくなったあたしは、ほんの1秒だけマモルの冷えた手を握って、彼を起こさないよう静かにベッドへと戻った。