ゲイな彼と札束
あたしは中学卒業後、誰にも何も言わずに、日本の西の方からローカル列車を乗り継ぎ、2日かけて東京にやってきた。
結構な距離だが、飛行機は使わなかった。
親父があたしの家出に気付いて捜索願いなんか出したとき、名前の残る飛行機になんか乗ったらバレてしまうから、切符だけで移動できる方が見つかりにくいと思ったのだ。
それから3年と少し。
ローカル作戦が功を奏したのか、あたしは今もこうして東京にいる。
もしかしたら探してすらいないかもしれないが、確かめる術はない。
東京へ来てからも、何かと波瀾万丈だった。
やっと手に入れた、安息の生活。
無駄に広いベッドの左に涼しい顔で寝息を立てるゲイ。
8月が終わり、9月になった。
東京はまだまだ暑い。
利害が一致したマモルと生活し始めてから、もう3週間が経とうとしている。
あたしの知らない間に調査とやらは入ったらしく、ジョージの事務所から振り込まれた生活費で悠々と暮らしている。
ちなみにこの生活費は、便宜上マモルのバイト代として支払われているそうだ。