ゲイな彼と札束

中野の駅前でタケシに見つかったのがトラウマになっているあたしは、急ぎでない買い物は、携帯を利用して通販で購入することにした。

数日前に有名で信用のある通販サイトで小物を注文してみたのだが、なかなか届かない。

注文画面を見ながら通販なんてそんなもんかと思っていると、突然知らない番号から電話がかかってきた。

どうしよう、出るべきなのだろうか。

相談しようにもマモルは、

「ちょっと大学の研究室に行ってくるね」

と行って出かけてしまっている。

間違い電話かもしれないし、それならそう伝えた方が良いだろう。

と判断して、通話ボタンを押した。

「もしもし」

『あ、こちら通販サイト○○と申しますけど、瀬戸冴様のお電話でお間違いないでしょうか』

「あ、はい」

『実はですね、商品をご指定の住所に何度送っても、宛所不明で戻ってきてしまうんです』

……アテドコロ?

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