ゲイな彼と札束

それなら安心だ。

バレたらきっと連れ戻される。

マモルとの安息の生活を失いたくない。

3年以上家出していたことに対して、親父からどんな仕置きをされるかわかったもんじゃない。

あたしは用紙を提出し、コンビニでタバコを2箱購入して帰宅した。

帰宅してテレビをつけると、ジョージが出演しているCMが流れていた。

マモルはこいつとの恋愛に区切りを付け、未練を見せながらもポジティブに新しい生活を送っている。

今はまだ学生で、就職もなくなったわけだけれど、いつまでもジョージに養ってもらえるわけではないと、自立しようと頑張っている。

本当はあたしだってわかっているのだ。

いつまでも親父から逃げているわけにはいかないと。

この国で生活していくためには、家出ではなく、ちゃんとした形で家を出なければならない。

マモルはゲイだ。

女のあたしは、いつか彼の元を去ることになるだろう。

その時は男に頼ったりせず、ちゃんと自分の力で生活しよう。

マモルのおかげで、優しくされることを覚えてしまった。

もう男なら誰でもいいなんて思えない。

自分の力で生きられるようになったら、あたしにも恋愛ができるだろうか。

あたしを甘やかし、大切にしてくれる、マモルのような恋人はできるだろうか。


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