あたし÷俺様王子=禁断
あたし達はグランドに着いた。


グランド上では、鍛え抜かれた肉体を持つ男同士が激突し、青春の熱い汗を流していた。



はずだった。



グランド上に誰もいませんけど……



「今日、練習休みなんじゃね?」



『そんな事ないはずだよ。
お兄ちゃんは練習が休みの日を必ずあたしに教えてくれるもん。
練習が休みの時は、お兄ちゃんに勉強教えて貰ったり、二人っきりで外出する約束してるもん』



すごく残念なんだけどね、
これは嘘なんだ。



お兄ちゃんも最近は色々と忙しいみたいで、あたしに構ってくれないし。



妹アドバンテージをアピールして、ナミにダメージを与える作戦。



「た、楽しそうで、良いね……」



ナミは色白だから、わかりやすいなぁ〜



ちょっと青ざめちゃってるし。


かわいそうだけど、お兄ちゃん争奪戦に友情は持ち込まない。


「だったら部室にいるんじゃね?」



『あっ、そうだよね』



「じゃ、ひな、部室のドアをノックして来てよ」



『えっ、でも、ウチらまだ中学生だよ』



「ひなはセナさんの妹なんだから、部室に遊びに行っても全然問題ないじゃん」



「私がノックして来るわ」



ヤバイ!!
ナミに主導権を握らせてはダメダメダメッ!!!



『あたしが行くよ〜』



全力ダッシュで部室の前にたどり着きドアをノックするあたし。



「はーい。
新聞なら間に合ってますよぉ〜」
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