あたし÷俺様王子=禁断
「内藤様か。
俺の前の苗……
いや、何でもない」



『は、はぃ??』



なっナンなのっ!?
内藤様って。



あたしの計算もママ譲りの天然キャラ炸裂の前には無力なのね……



「ゴメン、ひな。
ちょっと急用を思い出したから学校に行ってくるよ」



『えっ!!』



あたしのお兄ちゃんと手を繋いでラブラブで帰りたいと言う乙女のささやかな野望は一体……


うーん。
ここであっさり引き下がったら乙女じゃない妹じゃない。



『でも、お兄ちゃん、まだ一人で歩くのは危ないよっ!』



「大丈夫だよ。
伊達にラグビーで体を鍛えている訳じゃないからな。
心配してくれてありがとな」



お兄ちゃん。
爽やかな笑顔ですね。



ドキドキするシーンじゃないけど……



『そ、そうだよね。
気をつけて行って来てね。
お兄ちゃん』



女の子にモテる要素をパーフェクトに備えているお兄ちゃんの唯一の欠点。



それは、お兄ちゃんのファンの子は知らない酷すぎる天然。



そんな天然をかわいいぃ〜と思えるほど、あたしはまだ大人じゃないし……



「そう言えば、今年のバレンタインデーは、日曜日だよな。
毎年、バレンタインデーは忙しくて、ひなとゆっくり過ごせなかったよな。
今年は、ひなのために1日予定を空けているからさ、家で二人でゆっくり過ごそうぜ」



ミラクル発言
キタァァァー!!!



妹アドバンテージで、お兄ちゃんとお家でバレンタインデート♪



ギャップがたまらないから、天然もアリだよアリ。



あたしも大人になったなぁ〜



『うん。
お兄ちゃん、楽しみにしてるねっ♪
じゃあ、気をつけて行ってらっしゃい♪』



「二人にとって特別なバレンタインデーにしような」



『うん♪♪♪』
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