失われた時を求めて
俺が慌てハンカチを差し出すと、彼女は受け取らなかった

自分のバックから、淡い緑色の鳥の刺繍が入ったハンカチを出して目元を押さえていた

その仕草が綺麗だと、俺は自分で差し出したハンカチをしまうのを忘れて彼女に見入っていた

「ありがとう。でも、悪いから。」

彼女はそう言うとハンカチをまたバックにしまった

「いいよ」

俺はできるだけ笑って言って持ってたハンカチをしまった

「あの…」

「ん?」

「私つまらなくない?」

「えっ?」

「無理して一緒にいようとしてない」

俺は彼女がそんなこと思ってたなんて全然わからなかった

何故そんなことを言うのだろう

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