†Dragon Guardian†
「あとは、時間を稼ぐと
いう意味もありました」
「偶然捕まえられたから
良かったものの……」
壱加は、あっけらかんと
話す弥嘉に思わず溜め息
を漏らした。
すると突然三沢と青年が
会話に首を突っ込んだ。
「いや、偶然なんかじゃ
ねーぞ!?石河君が犯人の
気を逸らしてる間周辺の
港を封鎖したり、盗難車
を持ち主に返す手続きを
したりしたからなっ!!」
「それに犯人グループは
生け捕り専門で有名だっ
たから助かったよ。事が
済めばあとは人数揃えて
出向くだけ!!」
解決劇に隠されたあまり
にも用意周到な筋書きに
壱加は暫し唖然とした。
「じゃあ爆発事故の話は
どうなんだよ?」
気を取り直して、壱加は
弥嘉の話を思い出しつつ
訊ねてみた。
「先日、沼隈崎にて原因
不明の爆発事故があった
そうですよ?あの地域は
齊山の近辺なので間違い
ではないはずです」
「確か10キロ近くは離れ
てるじゃねぇかよ」
悪びれなく言ってのけた
弥嘉に壱加は心底呆れた
物言いをした。
彼のその様子を見た後、
弥嘉は先刻の状況を思い
出し徐に口を開いた。
「いや……それにしても
いきなりあのような事を
言われたので本気でどう
しようかと思いました。
普段からニュースは見て
おくものですよね」
『――そんな風には全然
見えなかったんだけど!?
アイツ、一見大人しい顔
してなかなか侮れねぇ』
突然弥嘉から発せられた
カミングアウトに、彼は
ある種の恐怖を感じた。