†Dragon Guardian†
「やたらトイレに行きた
がった理由は何だよ?」
壱加は、最も気になった
事を思い切って訊ねた。
すると弥嘉は、穏やかな
口調で簡単に述べた。
「それは……犯人と他に
連れ去られたドラゴンの
数を把握するためです」
「はあ!?何だそれ?」
尚も疑問の残る顔を見せ
つけた彼に、弥嘉は諭す
ように説明を始めた。
「先程ご覧の通り、誘拐
犯はあの5人だけではあり
ませんでした。かく言う
私も行きの車内でそれを
伺いました。したがって
表側に5人しか出て来てい
ない時点で、別の場所に
他の方々が待機している
のでは?と考えました。
しかしそれを確かめよう
にも、縄で結ばれている
状態で出歩けませんので
苦肉の策であの様なこと
を口走ってしまい……」
「な、なるほどな」
話しているうちに恥ずか
しさを覚えた弥嘉は段々
言葉尻をすぼめていた。
それに同情した壱加は、
あえて追求しなかった。
「あとは他のドラゴンが
いないことを確認する為
ですね。目一杯力を使わ
せて頂きました!!」
「だからあの時その辺を
妙にキョロキョロ見渡し
てたって訳か、納得」
「みっ……見てらしたの
ですか?ちなみに、同時
並行で犯人の数も調べて
おきました」
「抜かりねぇ奴」
そう言ってニヤリと笑う
壱加に、弥嘉は少しはに
かんで見せた。