†Dragon Guardian†
そのやり取りが一段落す
ると、クラスメートの1人
が弥嘉に話しかけながら
親指を扉の方に向けた。
「石河さん、お客さん」
「は……はい。わざわざ
有難うございます」
「あの、出来れば早めに
行ってあげて?」
「……はあ」
お客に身に覚えがないの
に加えて、何故急かされ
ているのかが分からない
弥嘉は、頭の上に疑問符
を浮かべつつ席を立つ。
「――――遅いっ!!」
ボーイソプラノの声が、
弥嘉の耳に鋭く響いた。
「す、すみません!!」
突然の叱咤に弥嘉は反射
的に深々と頭を下げた。
するとその声の主は苦笑
混じりに呟いた。
「いや……そこまでする
必要ねぇから」
「へっ!?」
聞き覚えのあるその声に
弥嘉は、思わず間抜けな
声を漏らした。
その後彼女は徐々に頭を
上げて彼の姿を窺うなり
両眼を目一杯見開いた。
「いっ…………壱加!?」
それを聞き、壱加は短く
「おう!!」と答えた後に
イタズラっ子の如く笑み
を浮かべた。