†Dragon Guardian†
「……んで、他には?」
「――漆黒の羽根が何枚
か見えました。突然消え
た事から判断すると普通
の鳥の羽根とは到底考え
にくいですからおそらく
ドラゴンのものかと」
弥嘉の推測を聞くなり、
壱加は一気に表情を曇ら
せていった。
「……だとすると、相当
やっかいなことになる」
「え!?それは、一体どう
いうことでしょうか?」
壱加の深刻そうな呟きに
弥嘉は首を傾げていた。
すると彼は、実に真剣な
眼差しで弥嘉を見据えな
がら言った。
「太古から漆黒の羽根を
持つドラゴンは並外れた
能力の高さを誇ってて、
俺みてぇな平凡な奴らに
とってみれば神に等しい
存在なんだよ」
壱加はそう言い終わった
途端に顔を真っ青にして
「何でそんな奴が……」
としきりに繰り返した。
彼の尋常ではない態度に
狼狽える傍らで、弥嘉は
あることに気が付いた。
「お手洗いにいらっしゃ
った方々の態度ですが、
妙に不自然じゃありませ
んでしたか?」
「……そうか?あのタイ
ミングで火災が起きたら
普通疑うもんだろ?」
壱加は火災当時の感情や
今し方襲いかかってきた
恐怖を取り払って、至極
冷静に答えていた。