†Dragon Guardian†
その直後漠然とした不安
に襲われた弥嘉はやっと
の思いで声を絞り出す。
「――――睦月様?」
「ああ……でもそれだと
おかしいんだよな」
「何がですか?」
弥嘉は、壱加の不可解な
発言に首を傾げる。
「確か、先の大戦で人間
側に封印されて以来動け
ないはずなんだよ」
「大戦………封印……」
弥嘉は、彼の言葉を呟き
ながら以前父親が教えて
くれた事を思い出した。
――――この地域一帯を
一瞬で焼け野原に仕立て
上げたんだ……――――
――――当時の最新兵器
でようやく封印すること
に成功した……――――
―――<伝説のドラゴン>
が姿を表したんだ―――
『それならば全て納得が
いきます……壱加があれ
ほど畏怖を感じるのも、
さなえちゃんの記憶操作
が出来るのも、遠隔地で
火災を起こせるのも彼女
が伝説だからこそ』
弥嘉は、そう結論づける
なり壱加を見据えた。
「もしや……睦月様が、
“伝説のドラゴン”では
ありませんか?」
核心をつく彼女の言葉に
目を見開いた壱加だが、
次第に落ち着きを取り戻
して言葉を紡いだ。
「……………そうだな」
どことなく悲哀を帯びた
彼の呟きが、静寂な船内
に溶け込んでいった。