†Dragon Guardian†
弥嘉から紡がれた言葉を
一つ一つ噛み締めていた
壱加は、不意に彼女の頭
を撫で始めた。
「なるほど。んで体は?
もう行けそうなのか?」
「はい、大丈夫です」
弥嘉はそう言って、彼に
弱々しくも笑いかけた。
***
やっとのことで2人が甲板
まで辿り着くとそこには
弥嘉の言う通り、栗色の
髪をした12歳程の少女が
一人佇んでいた。
満月に照らされた少女の
姿にあどけなさはなく、
寧ろ“孤高の女王”の名
に相応しい威厳と風格を
存分に漂わせていた。
また、見るものを惹きつ
けるかのような不思議な
魅力もそこには窺えた。
弥嘉達が暫しその美しさ
に見とれていると、突然
少女が非常に冷酷な声で
話しかけてきた。
「随分と……待たされた
こと……その力をもって
しても……この程度」
少女が放つ威圧感にたじ
ろいだ弥嘉であったが、
僅かな勇気を振り絞って
彼女に問いかけてみた。
「――目的はやはり私の
“眼”ですか?」
しかし少女はそれに答え
ることはせずただ沈黙を
守るだけであった。
それを肯定と受け取った
弥嘉は、次第に鋭い視線
を彼女に向けた。
「そのために、私の友人
らを危険な目に!?」
すると、ようやく少女が
徐に口を開いた。
「周りから攻めれば……
必ず来る……と踏んだ」
その瞬間弥嘉は言いよう
のない恐怖に襲われた。