†Dragon Guardian†
弥嘉の、あまりにも酷い
顔の歪みぶりに観念した
少女は思わず声を漏らし
ていた。
「“記憶操作”を、こう
もあっさりと……見抜か
れる……とはな」
それを聞いた弥嘉はよう
やく納得した表情を見せ
徐に言葉を紡いでいく。
「さなえちゃんにしては
あまりにも不自然な行動
が目立ちましたから」
「催眠術……だとは考え
なかったの……か?」
「目が濁っていませんで
したので、それはないか
と思いました」
そう言い切って微笑んだ
弥嘉を、少女は少しだけ
眩しく感じていた。
「本当に……嫌になるく
らい似ているな……季結
……お前の母親と。特に
能力に……頼りきらない
ところは……一緒だな」
突如、風と共に紡がれた
言葉は弥嘉に更なる混乱
をもたらした。
「えっ……母……親?」
吃驚のあまり暫しその場
に立ち尽くす弥嘉に構う
ことなく、少女は彼女に
背を向けた。
「とりあえず……今日の
目的は……果たした」
少女はそう告げるなり、
漆黒の羽根を広げて深い
闇へと消えていった。
その様子を、残された2人
はただ黙って見送るほか
なかった。