†Dragon Guardian†
実に意味深な言葉を残し
たまま、徹は静かに受話
器を置いた。
「――娘にあえて困難な
道を歩ませる私を、酷い
男だと罵るか?」
徹はそう呟きながら今は
亡き妻の写真を眺めた。
写真の彼女は、それには
答えず満面の笑みを彼に
向けるだけであった。
それが、雪の残る厳しい
寒さと相まって徹を余計
寂しい思いにさせた。
「季結……お前ならこの
場合どうしてやれた?」
物言わぬ彼女に尚も徹は
問いかけた。
その顔には後悔と自嘲が
入り混じった複雑な表情
が見て取れる。
暫くすると軽快なFAX音が
部屋中に響き渡った。
――この時の苦悩を娘が
知ることはなかった――