†Dragon Guardian†
電話のやり取りまで話し
終えたところで、弥嘉は
口を閉ざした。
「――最後の言葉が何か
引っかかるんだよなぁ。
“自分を見失うな”って
一体どういうことだ!?」
「で、ですよね……」
怪訝な表情をする壱加を
見ながら、弥嘉は遅れて
それに同意した。
「まあ、この暗号が解け
れば全部分かることなん
じゃねぇの?弥嘉の幼な
じみの謎も徹の言葉も」
「は、はい!!」
一点の曇りのないあっけ
らかんとした彼の言葉が
弥嘉の心に染み渡った。
***
「それにしても、初っ端
から意味分かんねぇな」
暗号が書かれた紙を摘み
ながら、壱加はさも億劫
そうにそれを眺めた。
「ですよね。ここ最近、
それと照らし合わせつつ
片っ端から図書館の資料
に目を通していたのです
けれども、一向に分かる
気配がしなくて」
「その痕跡が、例の手書
きのリストって訳か」
「たっ……大変お恥ずか
しい限りですけれども」
思わぬ鋭い指摘に弥嘉は
すぐさま顔を俯けた。
『――アイツ、妙なとこ
頑固だから説得にもっと
時間がかかるかと思った
けど、意外と早く吐いて
くれたもんだ。こりゃあ
紗奈恵に何か貢いでおか
ねぇと罰当たるな』
羞恥でひたすら顔を赤く
した弥嘉に目をやりつつ
壱加は実に打算的な考え
を巡らせていた。