†Dragon Guardian†
「はぁぁぁぁ!?何やって
んだお前!!それ手掛かり
じゃねぇのかよっ!?」
弥嘉のあまりにも不可解
な行動に、壱加は思わず
例の紙を床に落とした。
しかしながら弥嘉はそれ
を気にも止めず、唯ひた
すら小さな声で呟いた。
「あの努力は全て無駄だ
ったのかもしれません。
どうして今の今まで暗号
自体に気を配らなかった
のでしょうか!?」
「はあっ!?全っ然意味が
分かんねぇんだけど!?」
「万が一の時のために、
お父様に資料を送付して
頂きましたが、どうやら
正解だったようです」
そう言い終わると弥嘉は
扉の方向に体を向けた。
「ちょっ……てめぇ俺を
置いて何処行く気だ!?」
まさかの放置プレイに、
壱加は慌てふためきつつ
彼女を呼び止めた。
すると、それを耳にした
弥嘉が徐に振り返った。
「あの暗号の謎が解けた
かもしれません……」
そう答えて微笑むなり、
弥嘉はすぐさま彼に背を
向けて走り出した。
――真実を求め、少女は
ひたすら駆けていく――
【Chapter.8 迷走】 完