†Dragon Guardian†

「何の本だ、これ?」


壱加は、目の前に差し出
された書物を不躾なほど
まじまじと見始めた。

一方弥嘉は、それを暫し
眺めた後徐に口を開く。


「ところで、壱加は大戦
までこの国が王制だった
ことをご存知ですか?」

「まあな。確か、4年前に
終わったんだよな?まだ
ガキの頃だからあんまり
覚えてないけど……」

「えっ、4年……前?」


父親の話や今までの知識
とのズレを感じた弥嘉は
驚きのあまり閉口した。




「――――弥嘉?」


一向に物を言わぬ弥嘉を
不審に思い、壱加は些か
大きな声で呼びかけた。

それを耳にした途端我に
返った弥嘉は慌てて話を
続けた。


「ど……どうやら、その
当時までの官位やそれに
属した人間及びドラゴン
の方々の名前が記載され
ているものだそうです」

「へぇ、要はお偉いさん
の名簿ってワケか。それ
だったら、鍵になるかも
しれねぇな」


彼女の言葉を聞くなり、
壱加は思わず感心した。




『確か、大戦が終わった
のはお父様が子供の頃の
はず。何故、壱加は4年前
と仰ったのでしょう?』




少しばかり納得した顔を
見せた壱加とは異なり、
弥嘉は先程の彼の呟きが
頭から離れず混乱の渦に
陥っていた。
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