†Dragon Guardian†
端から壱加の反応を見越
していたかのように徹は
さらに言い募った。
「ちなみに、彼女の送還
には裏ルートが使われた
可能性が非常に高い……
元々マーリン氏は招かれ
ざる客人だ。表沙汰には
したくない、というのが
国家側の本音だったのだ
ろうな。しかしその送還
自体が結局誤りだったの
だから実に本末転倒だ」
そう言って寂しげに呟く
徹を見てようやく壱加は
少しずつ口を開いた。
「う、裏ルート?」
「ああ……正規のものと
異なり、国家側の責任が
問われないんだ。その為
送還された者は命の保障
がないとされている」
それを耳にしたと同時に
壱加の中でとある仮説が
生まれた。
「もしかして、その都と
やらが攫われちまって死
んだかもしれねぇのは、
自分のせいだって責めて
んのか!?アイツは……」
「――おそらくはな」
予想通りの返答に、彼は
忌々しげに舌打ちした。
「――ったくよぉ!!何で
アイツはいっつもそうな
んだ!?普通に考えたら、
たとえその場に居合わせ
たとしても女一人じゃ何
も出来ねぇだろうが!!」
壱加は、自身を極限まで
追い詰める当時の弥嘉が
容易に想像出来て思わず
苛つきを覚えたが、ある
程度落ち着くと今度は徹
に白羽の矢を立てた。
「アイツもアイツだが、
徹も徹だ!!どういう教育
したらあんな自己嫌悪の
塊みてぇな子供が出来ち
まうんだよ!?これじゃあ
あまりにも弥嘉が可哀想
すぎるだろうがっ!!」
心から湧き上がるような
悲痛な叫びに、徹はただ
何も言わず苦笑を漏らす
ことしか出来なかった。