†Dragon Guardian†
徹のその曖昧な表情と、
瞳の奥底に潜む悲しみの
色を見て取ると、壱加は
これ以上の詮索は無駄だ
と悟り、仕方なしに別の
話題を振った。
「それにしても……どう
やってそこまで調べたん
だよ!?弥嘉だってやっと
この前苦労して手に入れ
たばかりなのに」
さり気ない壱加の心遣い
に感謝しつつ、徹は徐に
彼の疑問に答えた。
「顧問の情報網を甘く見
るなよ?国家や守特構に
パイプくらいは持ってい
るし、第一顧問は守護者
と対局の非戦闘要員だ」
「はぁぁぁぁ!?守護者と
して戦えないのは守特構
職員の方なんじゃ……」
「勘違いしているようだ
から言っておくが、そも
そも顧問は以前に帝政律
館で守護者経験があるが
病気等の理由で辞退した
者達のことだ。そのため
こちらの方が真の意味で
守護者と対になるといえ
るな。ちなみに、我々の
存在を知るのは上層部や
身内だけだ。また、守特
構職員はあくまで公務員
であるため立場や思想が
まるで異なる」
それを聞くや否や、彼は
突然何かに閃いたような
顔を見せた。
「――!!!!!!だから本来
閲覧出来ねぇはずの機密
事項について書かれた本
の内容に詳しかったり、
弥嘉があそこに行く時の
用意がやけに手際良かっ
たってわけか……」
苦々しくそう吐き捨てる
壱加とは対照的に、徹は
言葉を発することもなく
微笑んでいた。