†Dragon Guardian†
――約束の日、当日――
昨日の大雨から一変して
朝から雲一つない澄み切
った青空に見舞われた。
露に濡れた色とりどりの
花々も柔らかな光に包ま
れて、一層その美しさに
磨きがかかっていた。
そのような中、眠気眼を
擦る弥嘉と物憂げな顔を
した紗奈恵を引き連れ、
壱加は再び柏木宅の敷居
を跨いだ。
「――ちょっと壱加っ!!
こんな朝早くに、私まで
押しかけていったら流石
に迷惑じゃない!!」
紗奈恵はそう言うなり、
何のためらいもなくイン
ターホンを押そうとする
壱加の袖を思い切り引っ
張った。
それに対し、壱加はいか
にも面倒臭そうな表情を
浮かべながら答えた。
「何だかんだ言っても、
弥嘉がああなった諸々の
理由を知りてぇんだろ?
だったら、この方が断然
手っ取り早ぇし多分あの
人なら1人増えたくらいで
喚いたりしねぇよ」
妙に確信めいた言葉を耳
にした途端、彼女は袖に
込めた力を若干弛めた。
その隙を突いて、壱加は
すぐさまインターホンを
鳴らした。
すると、暫くしてから鍵
の開く音と共に都の母が
扉から顔を覗かせた。
「――来たぞ」
「あ~いらっしゃい……
ええっと、こちらは?」
「あの、朝早くから本当
にすみません!!いつも学
校で弥嘉さんと壱加さん
にお世話になっている、
飯塚紗奈恵と申します」
何気ない女性の問いかけ
に対し、余計に罪悪感を
覚えた紗奈恵は思わず深
々と頭を下げていった。