†Dragon Guardian†

お辞儀の態勢のまま尚も
動こうとしない紗奈恵に
向けて、女性は穏やかな
口調で話しかけた。


「顔を上げてください。
寧ろ賑やかなほうが好き
やし、いっくんらの友達
でしたらウチとしては大
歓迎ですよ。あと、やよ
ちゃんもいらっしゃい」


女性はそう言って弥嘉に
笑いかけるも、虚ろな目
をした彼女は黙って壁を
見つめるだけだった。

その光景を暫くの間眺め
ていた女性は、「これは
聞いていた以上やな」と
一言呟いた後、壱加の方
に再度向き直った。


「いっくん、昨日のアレ
なんやけども……」

「確かめねぇことには、
今は何とも言えねぇな」

「――??????」


2人の会話が全く読めない
紗奈恵は、思わず頭の上
に疑問符を浮かべた。




ちょうどその時、柏木宅
の前を走る通りから辺り
一帯に響き渡る大きな声
が聞こえてきた。


「あぁ良かった~ちゃあ
んと家に居ったし!!」




「……都……ちゃん?」




それを耳に入れた途端、
今まで何の反応も示さな
かった弥嘉の口から無意
識に言葉が漏れた。
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