†Dragon Guardian†
未だ胸の痛みがくすぶる
ものの、それを少しでも
紛らわせようと都は再び
綾瀬に話しかけた。
「……あのっ」
「はい、何でしょう?」
「えっと……綾瀬さんに
比べれば短い時間やった
と思いますけど、ウチも
今まで長官さんにはほん
まに良うしてもろたし、
ぎょうさん迷惑もかけて
しもたからせめてお葬式
だけでも行きたいです」
都がそう言って顔を前に
戻すと、たちまち綾瀬は
体の芯から冷えるような
声を不躾に浴びせた。
「――柏木様は、ご自身
の立場を分かっていらっ
しゃるのですか?」
あからさまな態度の変化
と口調の鋭さを受けて、
都はすぐさま怒りを露わ
にすると我も忘れて勢い
良くまくし立てた。
「なっ、何やねん!!確か
にウチはただの庶民やし
長官さんの足元にも及ば
へんかもしれん!!けど、
お世話になった人にお礼
なりお詫びなりするんは
当然のことやろっ!?自分
はそれすらもさしてくれ
へんっちゅうんか!?」
すると、綾瀬は一旦口を
閉ざした後些か大袈裟に
溜め息をついた。
「先程私が申し上げた事
を既にお忘れですか?」
「………………へっ!?」
予想外にもたらされた彼
の発言を耳にして、都は
呆気にとられると同時に
思わず目を見開いた。