†Dragon Guardian†
そうこうしている間に、
車はようやく大通りに差
しかかり周辺一帯が必然
と賑わい始めた。
そして至る所で標識や人
の行き来が目立つように
なった頃、何の前触れも
なく綾瀬が口を開いた。
「柏木様、そろそろ目的
地に到着致します」
すると、都は鞄から携帯
を取り出して徐に画面へ
視線を落とした。
「――ほんまにあれから
一週間経ったんですね。
ウチ、どんだけ泣いてた
っちゅう話ですわ」
そう言って、恥ずかしげ
に頭を掻く都とは対照的
に綾瀬は次第に表情を曇
らせていった。
「申し訳ございません。
高速を使えば1日程で到着
するにはするのですが、
何分料金所で足がついて
しまう危険性を考えると
やはり地道しか……」
「いっ、いえ!!気にせん
といてください!!むしろ
ここまでしてもうて有難
うございましたっ!!」
かつてない程に落ち込む
綾瀬を目の当たりにした
都は、慌ててお礼を言い
つつもふと首を傾げた。
「……ん?目的地?そう
いえば、ウチの家がどこ
か知ってるんですか?」
「まあ、柏木様のデータ
は一通り頭に入れており
ますけど……良く周りを
見てみてください」
『入れてるんかい!!よう
考えたらこれといい手紙
や電話の事といい、何で
色々知っとるんや!?』
心の中で鋭いツッコミを
入れるものの、都は湧き
上がる好奇心を抑えきれ
ずに、すぐさま全神経を
窓の外に集中させた。
「えっ……橋浪駅?」
「はい。今私が直接ご自
宅までお送りするのは、
あまりにもリスクが高い
ですからね」
「なっ、なるほど……」
現在置かれた状況を考え
れば至極当然な判断に、
都も一旦は納得したかの
ような返答をした。
しかしながら、この遭遇
で否応なく3年前の記憶を
呼び起こされた彼女は、
徐々に困惑の態を露わに
していった。