†Dragon Guardian†
その言葉に釣られるまま
綾瀬は再び口を開いた。
「例の“あの方”が捕ま
らない以上、これから先
あなたが狙われる可能性
は充分に考えられます。
多少不本意かもしれませ
んが、ご自身を守るため
にも帝政律館へ入学され
てはいかがでしょう?」
「……帝政?ああ、守護
者いうんを養成する学校
でしたっけ?確かセキュ
リティーがむちゃくちゃ
高いんでしたよねぇ」
比較的のんびりとした口
調ながらも懸命に記憶の
糸を辿っているらしく、
都は思い切り眉間にシワ
を寄せていた。
「う~ん、そやね……」
そうして暫し考え抜いた
末に、ようやく都はある
結論を導き出した。
***
道路の至る所に横たわる
水たまりが人々の営みを
映し出す中、綾瀬は軽快
に車を走らせていた。
「あれは、実に“柏木様
らしい”お答えでした」
つい先程交わされたやり
取りを思い出しながら、
綾瀬は一人小さく笑う。
「どうか、お元気で」
あたかも彼の願いを聞き
入れるかの如く、雨上が
りの澄み切った空からは
一筋の光が差し込んだ。