†Dragon Guardian†

時を同じくして、先程車
から降りた都は橋浪駅前
をぐるりと見渡した。


『――やっぱり3年経つと
随分変わるもんやなぁ』


当時は影も形もなかった
お洒落な喫茶店や洋服屋
が立ち並ぶショッピング
モール、晴天を突き刺す
ような高層ビルの数々、
そして吹きさらしの個人
商店の廃墟を眺めながら
都は暫し感慨に耽る。




『さて、そろそろ電車に
乗らなアカンな』


不意に沸き起こる寂しさ
を紛らわせるかの如く、
都はいそいそと慣れた手
つきで切符を購入した。

その後、いざ改札を抜け
ようとしたところで都は
思わず立ち竦んだ。


『……なっ、何やこれ!?
どこに切符入れるん!?』


人目を気にすることなく
挿入口があるはずの箇所
を何度もさするうちに、
都の両眼にはある物体が
飛び込んできた。


『もしや、この光ってる
とこに切符を置く……』

「切符でしたら隣の改札
機をご利用ください」

「――お、おおきに」


通りすがりの駅員に心を
読まれて僅かに驚いたも
のの、都はすかさず頭を
下げてお礼を述べた。


『う~ん……今なら浦島
太郎はんの気持ちがほん
まに良う分かるわぁ』


すっかり変貌を遂げた街
の様子に、都は3年間の時
の流れを改めて実感して
ふと溜め息を漏らした。
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