†Dragon Guardian†
ところが、翠は弥嘉の心
配をよそに半ば自分の世
界に入ったまま徐に言葉
を紡いでいった。
「ねぇ……ここって苗城
市よね?だったらすぐ近
くに“DAY DREAM”があっ
たんじゃないかしら?」
「――言われてみれば、
確かにそうだったかも。
ちょっと調べてみるわ」
珍しく素直に翠の意見に
耳を傾けるなり、紗奈恵
はしおりを片手に黙々と
携帯を操作し始めた。
「で、でいどりぃむ?」
「えっと、簡単に申し上
げますと5月下旬に苗城市
の海沿いにオープンした
屋外型のテーマパークの
ことです。名前だけでも
ご存知ありませんか?」
すかさず弥嘉による大ま
かな解説が入るものの、
壱加は無言で首を左右に
振るだけであった。
そこにようやく覚醒した
翠が、突如として2人の話
に割り込んできた。
「なかでも、目玉アトラ
クションの“過去巡り”
は3時間以上並ばないと入
れないんですって!!」
「はあ~!?“過去巡り”
っつったって所詮は自分
の事だろ?凄まじく面白
くなさそうな上に、何で
こっちがそこまで待たな
くちゃいけねぇんだ!?」
そうしてぶっきらぼうに
吐き捨てる壱加に対し、
翠は尚も興奮覚めやらぬ
様子で話を続けた。
「話によると、その人の
過去や前世だけじゃなく
友達や親の過去なんかも
分かるらしいわよ?」
「……らしい?」
「どうやら、人によって
見える物がそれぞれ異な
るそうなのですが、未だ
に詳しい仕組みが解明さ
れていないのですよ」
弥嘉はそう説明するや否
や苦笑いを浮かべつつ、
「あまり趣味が良いとは
思えませんがね……」と
さらに一言付け加えた。