†Dragon Guardian†
しかしながら、壱加は未
だに納得していないのか
至極不満とばかりに勢い
良く翠に噛み付いた。
「ちょっと待てよ!!俺は
行くなんて一言も言って
ねぇんだけど!?」
「ふむ……ちょっと耳貸
しなさい、ガキンチョ」
そう言うなり、翠は端正
な顔を惜しげもなく近づ
けると思い切り壱加の耳
を引っ張った。
「……だと思わない?」
「――――!!!!!?????」
そうして一通り話が終わ
ると、壱加は何故か弥嘉
を凝視して見る間に顔を
朱色に染め上げていく。
「まあ、そこまで言うな
ら行ってやっても……」
「これで全員一致ね♪」
ようやく最後の砦である
壱加の了解を得た翠は、
益々気を良くして再び鮮
やかに微笑んでみせた。
『――先程まであんなに
嫌がっていらした壱加が
素直に言うことを聞くな
んて、翠さんは一体何と
仰ったのでしょうか?』
壱加のあまりの変貌ぶり
と些か不審すぎる行動を
目の当たりにして、弥嘉
は嬉しさよりも思わず首
を傾げることになった。