†Dragon Guardian†

――そして遂に翌朝――




夏の象徴とも言える入道
雲がハッキリと見受けら
れるほどに青く澄み渡っ
た空の下、弥嘉達一行は
タクシーを待つべく旅館
の前で足を止めていた。

しかしながら、それとは
対照的に紗奈恵は両腕を
組みながら鬼の形相で翠
を鋭く睨みつけた。


「んで、一応班内で決着
はついたけどこれから先
どうすんのよ!?タクシー
の運転手さんを説得する
なんて出来ないわよ!?」

「そ、それは……」


一方の翠は、突如紗奈恵
から発せられた思わぬ指
摘に柄にもなく閉口する
羽目になった。


「ま・さ・か、言い出し
っぺが全くのノープラン
で動いてたなんて、そん
なはずないわよねぇ?」

「――五月蝿いわねっ!!
ちゃんと何とかするから
黙って見ておきなさい!!
私だって、12歳から伊達
にモデルをやってるわけ
じゃないんだから!!」


このようなやり取りを続
けるうちにとうとう頭に
血が上ったのか、翠は思
い切り叫ぶや否や他の3人
を差し置いていつの間に
か到着していたタクシー
に荒々しく乗り込んだ。




「それでは、始めにどこ
を回りましょうか?」

「“DAY DREAM”まで」

「は、はい!?」

「DAY DREAMまで、です」

「し……しかし」


予想外の申し出を受け明
らかに動揺を隠せない運
転手をよそに、翠はさら
なる畳みかけを行った。
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