†Dragon Guardian†
「じゃあ、早速あっちの
列に並びましょ?」
ところが壱加の心うちな
ど知るはずもなく、翠は
蛇状に規則正しく並ぶ溢
れんばかりの人混みを些
か興奮気味に指差した。
「うっわ……すげぇ人」
「そりゃそうよ!!なんて
ったって今話題のテーマ
パークですもの!!あぁ~
すっごく楽しみだわ!!」
「だからって、こんな炎
天下の中で3時間も待つな
んざ流石に有り得ねぇだ
ろうが……死ぬ、今なら
ものの数秒で確実に干か
らびて死んじまう!!」
そう言って止めどなく吹
き出る汗を乱暴に拭いつ
つ半ばうんざりした様子
の壱加を目にするなり、
弥嘉は気を利かせておず
おずと口を開いていく。
「では、その間飲み物で
も買ってきます。皆さん
は何が宜しいですか?」
「炭酸!!絶対ぇ炭酸!!」
「私はアイスティーで」
「う~ん、水かしら?」
「分かりました、すぐに
戻ってきますね」
あらゆる方向から次々に
飛び交う要望にも嫌な顔
一つせず、弥嘉は全てを
聞き終えると足早に一行
から離れて瞬く間に群衆
の中へと消えていった。