†Dragon Guardian†
『……えっと、これで全
部揃いましたかね?』
見渡す限りの群集を押し
のけようやく自動販売機
の前に到着した弥嘉は、
手早く要望通りの飲み物
を買うと順番に鞄の中へ
としまい込んだ。
そして用が済んだとばか
りに歩き出そうとする弥
嘉を尻目に、彼女の背後
からいかにも粘着性の高
さが窺えるざわつきが次
第に聞こえてきた。
「よう嬢ちゃん、こんな
所で何やってんだ?」
「もしかして1人とか?」
「い……いえ」
「まあいいや、あっちで
俺らと少し遊ぼうぜ?」
「ちょ、ちょっと……」
弥嘉はそう言って眉間に
シワを寄せたのにもかか
わらず、男のうちの1人は
別段構うことなくその細
い腕を引っ張り上げた。
『この場合、やはり鞄を
ぶつけるべきですかね?
それともいっそ足を思い
切り踏んで隙を……』
少なからず守護者として
危機的状況に立たされた
ことがあるからか、弥嘉
は非常に落ち着き払って
そう考えるなりすぐさま
体を反転させ始めた。
「こ~んな絶世の美女を
差し置いて、大の男3人が
一体何しようっての?」
軽快な靴の音と共に突如
響き渡った艶のある声を
耳にするや否や、弥嘉を
含めた4人はピタリと動き
を止めて一斉にそちらの
方へと視線を向けた。