†Dragon Guardian†

『み、翠さん!?何故こち
らへ!?皆さんの所にいら
っしゃるはずじゃ……』


予想外の翠の登場に思わ
ず困惑した表情を浮かべ
る弥嘉に対して、男達は
暫く沈黙した後これでも
かというくらいに一気に
色めき立ち始めた。


「おいアレ……かなりの
上玉なんじゃねぇか?」

「やべぇ、マジそそる」

「確かにな。この際あそ
こにいるねぇちゃんも一
緒に連れていくか!!」


このように些か下品な会
話が飛び交う中で翠の身
を案じた弥嘉は、現在置
かれた状況も忘れて大き
く息を吸い込んだ。


「――っ翠さん!!早く遠
くへ逃げてください!!」


しかしながら、翠は逃げ
るどころか艶やかな微笑
を携えて徐にその集団に
近づくと、尚も弥嘉の腕
を離そうとしない男の胸
倉を容赦なく掴んだ。


「……なっ!?」

「――汚い手で私の大事
な連れに触ってんじゃな
いわよ、このど変態」

「ぐ、ぐわぁぁぁぁ!!」




ダァァァァァァァァァン




『すっ、凄い……これが
俗に言う“背負い投げ”
なのでしょうか?』


何ともけたたましく地面
を揺らし背中から真っ逆
さまに落ちていく男の姿
を前にして、弥嘉は目を
見開いたまま呆然と立ち
尽くすほかなかった。
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