†Dragon Guardian†
「あの、恐らくそれだけ
ではありませんよね?」
言葉尻はかろうじて疑問
形であるもののほぼ確信
めいたその問いように、
翠が最早驚く素振りを見
せるはずはなかった。
「正直に言うと嬉しくも
あったわ。昔からこの顔
や性格・女装癖なんかが
災いして周りに距離を置
かれていたのよね、私。
だけど紗奈恵ったらそん
なのお構いなしに初っ端
から激しく怒りをぶつけ
てきたんですもの。これ
でも結構驚いたのよ?」
ひっきりなしに紡がれる
事実同士の関係性を探る
べく再び押し黙った弥嘉
をよそに、翠は更に話を
先へ先へと進めていく。
「だから物凄く興味が湧
いたの。どうしたらもっ
と私に感情をぶつけてく
れるのか?とか物怖じせ
ずに私に話しかけた紗奈
恵ならMIHARUじゃない素
の私も受け入れてくれる
んじゃないか?とかね」
「………………………」
「そういうあの子や幼い
時からつるんできた耀、
あとはこんな私にも無条
件で親切な弥嘉ちゃんが
傍にいてくれるから普段
MIHARUをやっていても私
は私らしくいられるの。
だから“大丈夫”よ」
そうして翠が穏やかな声
色を奏でつつも射抜くよ
うに前を見据えるなり、
弥嘉の心臓は盛大に音を
立てて跳ね上がった。
『この分ですと、翠さん
は薄々気が付いていらっ
しゃるのかもしれません
……参りましたね』
しかしながら、翠の話し
ぶりで先程の発言の真意
を概ね読まれたと感じる
と弥嘉は徐々に苦笑で顔
を歪めることになる。